医療関係への就職に興味がある方へ、医療従事者のなかからMTと放射線技師についてご紹介します。MTや放射線技師を目指す場合、ミスマッチを防ぐためにもその働き方や資格の違いについてあらかじめ知っておくことが大切です。

MTと放射線技師は国家資格取得者で、医療機関や企業で働いています。いずれも医師が診断を下すのに必要なデータを提供する役割があります。それぞれの特徴を知ったうえで、ご自身の性格や関心度と照らし合わせて選択してください。

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1. 臨床検査技師(MT)と放射線技師の違い

 ①業務

MTの業務は、検体検査と生理機能検査の二つに分けられます。検体検査は、血液・髄液・尿・便・喀痰など「モノ」を対象とします。生理機能検査は、心電図・肺機能検査・脳波・超音波検査・MRI検査など「ヒト」に接する検査です。

放射線技師の業務は、レントゲン撮影・CT検査・MRI検査・マンモグラフィ・超音波検査など「ヒト」に接する検査です。MRI検査や超音波検査はMTと共通した業務ですが、放射線を扱った検査ができるのは医師・歯科医師のほかには放射線技師のみです。

また、放射線技師はがんの治療法の一つである放射線治療も行えます。これは医師と放射線技師のみに許されています。

MTも放射線技師も医師の指示に従って必要な検査を行い、診断材料を提供するというのは共通しています。MTは検体検査を行う、放射線技師は放射線を扱うといった部分が大きな違いです。全体的に見ると、MTの業務は放射線技師に比べて患者さんと接することが少ないと言えます。

 ②勤務先

MTの勤務先は病院やクリニックのほか、臨床検査センター・健診センター・企業などがあります。

放射線技師の勤務先は主に病院やクリニック、健診センターなどですが、企業で研究や医療機器の供給にかかわっている方もいます。

勤務先はほぼ同じですが、MTは検体検査に特化した臨床検査センターという選択肢もあります。

 ③残業

MTも放射線技師も基本的には日勤ですが、いずれも検査数が多ければ残業することがあり、当直や休日出勤に対応が必要な所もあります。これは職種というより勤務先によります。

2.年収やキャリアの違い

令和2年厚生労働統計一覧(賃金構造基本統計調査)によると、臨床検査技師(MT)の年収は平均493万円、放射線技師は548万円ということです。これは新卒からベテランまで男女の区別なく出された平均年収です。これを見ると、放射線技師のほうがMTより平均で約50万円高いということになります。

ただし、MTは女性が多く出産などで離職することもあり、一方、放射線技師は男性が多く定年まで勤めやすいことが平均年収に影響しているようです。同じ経験年数のMTと放射線技師でこれだけ違うということではありません。

以前は手作業だった検査項目も医療機器による自動化が進み、MTの需要が少なくなる可能性があります。経験を積んだ後、細胞検査士や超音波検査士などの資格を取得するとスペシャリストとして認められます。検査知識を生かした治験コーディネーターや医療機器メーカーへの転職を目指す方もいます。

放射線技師は長く続ける方が多く飽和状態とも言われますが、マンモグラフィ撮影が増えたことから女性技師に対する需要が高まっています。

放射線技師も専門性の高さを証明する認定資格があり、給与にも反映されるため多くの方が取得を目指しています。たとえば健診マンモグラフィ撮影認定診療放射線技師・第一種放射線取扱主任者・放射線治療専門放射線技師などがあります。

3. 臨床検査技師(MT)と放射線技師の特性

MTは他のコメディカルに比べるとコミュニケーションの必要性が低い職業です。生理機能検査など患者さんに接する検査はもちろんコミュニケーションが必要ですが、検体検査は「モノ」が対象で細かい作業も多いため、理科の実験やコツコツと努力することが好きな方に向いていると言えます。

放射線技師は患者さんを対象とした検査を行うため、コミュニケーションが必要です。また検査に必要な機械やコンピュータを得意とする方、放射線をきちんと管理できる責任感のある方に向いています。

4. 資格を取得する難しさ

臨床検査技師(MT)も放射線技師も国家資格で、大学・短大・専門学校を卒業した後、国家試験を受けて合格する必要があります。国家試験は年に1度で、合格率はどちらも7~8割で、難易度にあまり変わりはありません。

国家試験はマークシート方式で、正答率が6割を超えると合格ですが、科目数が多いため早い時期から対策を始め、過去問題に多く当たることをおすすめします。