臨床検査技師(MT)の場合、多くの職場では女性の方が多いと言われていますが、実際のところ、男女比はどのようになっているのでしょうか。
今回は、MTの男女比やなぜ女性技師が多いのか、男性技師は不利なのかと言った点について詳しくご紹介していきます。また、MTの一人職場についても取り上げたいと思います。
1.臨床検査技師の男女比
臨床検査技師(MT)全体の男女比は、厚生労働省の2020年「賃金構造基本統計調査」によると男性の人数が17,820人に対して、女性が43,530人ということで、だいたい3:7ぐらいです。
女性が多い理由としては、乳がん検診や心電図検査など患者の体に直接触れる検査や、衣服を脱いで行う検査があるので、男性のMTだと抵抗があるという点があります。
また、業務内容に力仕事がないことから年齢を重ねても仕事が続けやすく、女性が無理せず長く働きやすい職場と考えられているので、女性の志望者が多いという点も挙げられます。
さらに、クリニックや検診センターを中心に日勤の仕事が多く、家庭を持っている女性も子育てをしながら無理なく仕事を続けやすいことも女性に人気の理由と言えるでしょう。
2. 臨床検査技師の施設別の構成比率
次に臨床検査技師(MT)の男女比が施設の規模別でどうなっているかを見ていきましょう。10人~99人までの職場、100人~999人までの職場、1000人以上の職場で見てみたいと思います。
先ほどの厚生労働省の賃金構造基本統計調査では、10人~99人までの職場では男性2,600人に対して、女性6,650人。100人~999人までの職場では、男性7,610人に対して、女性が20,003人と、3:7より少し女性が多いという全体傾向と同じでした。
一方で、1000人以上の職場を見てみると、男性が7,610人に対して女性が16,850人ということで、だいたい3:7ではあるものの、他の職場とは違い少し男性が多い傾向にあるようです。
ただ、職場の規模によって多少の差はあるものの3:7という比率は変わらず、MTの働く施設では女性の方が多いということが分かりました。
3. 年齢×規模×男女による構成比率の違い
次に年齢別で男女の構成比率がどのように違うのかを見てみましょう。今度は日本臨床衛生検査技師会の平成30年度・平成31年度のデータで見ていきます。
正職員のデータになりますが、25歳未満から49歳までは圧倒的に女性の人数が多いのに対して、50歳~59歳では男女比が4:6と縮まって、60歳以上では男性の比率の方が大きいという結果でした。
このように年齢を重ねるにつれて、男性のMTが増えていき、最終的には男性技師の方が女性を上回るという結果になることが分かりました。男性技師は年齢を重ねても管理職などで残るケースが多いと考えられます。
①.男性技師は不利なのか
男女比について見ていくと、男性技師はMTとして不利のようにも見えます。しかしながら、大病院の検査室では体に触れる必要がない検体検査が多いため、男性技師が多く勤務しているケースが見受けられます。
また、女性技師が産休育休などで休まなければならないことありますが、男性技師は継続して働くことができるケースが多いです。夜勤やオンコールが多い職場では、男性技師が重宝されるケースも少なくありません。
さらに、MTには病院での検査以外にも働ける場所があり、製薬会社や医療機器メーカーで営業職をサポートするアプリケーションスペシャリストなどは出張や残業が多いため、男性の方が活躍しやすい職場と考える方は少なくないでしょう。
このように、女性の方が多い職場だからと言って、決して男性技師が不利とは言えないことが分かります。MTとして成功するのに大切なのは男性か女性かということではなく、個人の努力にかかっていると言えるでしょう。
4.一人職場は多い?少ない?
最後に臨床検査技師(MT)の一人職場について見ておきましょう。クリニックなど小規模な医療施設では一人職場、もしくは少数のMTしかいないというケースも多いと言えるでしょう。
一人職場の場合は業務が忙しかったり、休みが取りにくかったりといったデメリットがありますが、多くのクリニックでは医師や看護師に協力してもらって乗り切っているようです。
また、業務について教えてくれる先輩が少ないため新卒のMTには向いておらず、一通りMTとしての業務をこなすことができる経験者に向いていると言えるでしょう。3年以上の臨床経験が条件などの求人が多く見受けられます。
一方でクリニックはアットホームな雰囲気で働きやすいですし、休診日があるので固定で休みを取ることができます。また、スキルのあるMTは医師からも信頼されて良好な関係を築きやすいといったメリットもあります。