臨床検査技師(MT)として数年働き、さまざまな経験を積んできた方は次の段階を目指すために、何か資格を取りたいと考えているのではないでしょうか。
資格を取ることによって普段の業務に生かして、給与アップを期待できる場合もあります。しかし資格にはいろいろなものがあるため、どれがよいのか分からないという方もいるかもしれません。
今回は、MTの認定資格の特徴や取得方法ついて詳しくご紹介していきます。
目次
1. 臨床検査技師の認定資格とは
臨床検査技師(MT)の認定資格とは、多岐にわたる専門分野のさまざまな学会や団体が認める民間の認定資格のことです。
医学が発展するにしたがって、MTもより専門的で高度な知識や技術を身につけることが求められています。認定資格を取ることによって、そうした知識や技術を確実に身につけることができます。
学んだ知識や技術は毎日の仕事で活かすことができるだけなく、資格手当などによって給与が上がったり、転職の際にも面接で有利になったりすることにもつながります。
ここでは、おもに日本臨床衛生検査技師会から公表されている認定資格のうち、「臨床検査技師を対象とする資格認定制度」を取り上げます。
2. 各認定資格の特徴と役割
この章では、認定資格の特徴や役割について詳しく説明していきます。
①.一級臨床検査士
臨床検査技師の上級資格とも言えるもので、微生物学、病理学、臨床化学など8分野から一つの分野を選択します。自分が普段携わっている分野を選ぶと良いでしょう。
資格を取ることによって、その分野で熟練した技術を持つMTであることを示すことができます。管理業務や他のMTを指導する能力も求められるので、管理職を目指す人にもおすすめです。
②.二級臨床検査士
こちらも一級臨床検査士と同じ8分野から科目を選択することができ、筆記試験と実技試験があります。試験では各分野の理論や、検査に必要な知識や技術が問われます。
二級臨床検査士の資格を持っているMTは多いですが、一級臨床検査士を受けるためには必要となる資格ですので、まずはこの資格から狙っていくのがおすすめです。
③.緊急臨床検査士
この資格では生理検査、生化学検査、輸血検査、血清検査、血液検査、微生物検査などの分野で幅広い知識や技術を持っていることが問われるのが特徴です。
とくに正確かつ迅速な検査を行う必要がある緊急検査時に求められる知識や技術が試されるため、一人で検査を行わなければならないときでも、自信を持って検査を行うことができます。
④.細胞検査士
日本臨床細胞学会による認定資格で、細胞の専門家として顕微鏡を使いながらガンなどの疾患を細胞レベルで検査します。試験は筆記・細胞像試験と鏡検・実技試験があります。
一般病院や癌専門病院の病理検査室、さらに検査センターなどで働くことができるほか、とくに日本人はガン罹患率が高いことから、今後も需要は増えることになると予想されます。
⑤.認定輸血検査士
認定輸血検査士は検査血液室で働くMTで、輸血の検査を専門業務とします。筆記試験と実技試験があり、合格率は平均20%台とかなり難関です。
輸血検査は検査の中でも患者の生死にかかわる検査ですが、この認定資格を取ることによって輸血についての深い知識と正確な技術が身につくので、自信を持って輸血検査に臨むことができます。
⑥.認定臨床微生物検査士
この資格は有能な認定臨床微生物検査士の養成をするために設けられたもので、試験では臨床微生物学検査(感染症検査)に関する基本的な技術を持っているかどうかが試されます。
微生物検査室で働くMTがさらに上のステップを目指して受けるケースが多いですが、院内感染の制御などに取り組む際にも役立てることができます。
⑦.認定血液検査技師
この資格は血液検査分野での高度な知識・技術を有するMTの育成を図るため導入されたもので、血液検査のプロフェッショナルと言えます。試験は筆記試験・細胞形態試験・実技試験があります。
血液検査に関するすぐれた知識や技術を身に付けることができるため、とくに血液検査の分野で日々の仕事に生かすことができます。
3. この他にも様々な資格がある
ここまでが臨床検査技師(MT)を対象とする資格認定制度になりますが、それ以外にもMTが目指すことができる資格はたくさんありますので、いくつかご紹介したいと思います。
①.超音波検査士
超音波検査士の資格は7領域ありますが、受験できるのは1年に一つの領域だけです。筆記試験だけでなく、症例についての所見を解説し、診断する症例レポートの提出も必要です。
この資格を持つ女性のMTの求人ニーズはとても高いので、エコーに携わっている方はこの資格を取ることを目指すのがおすすめです。
②.消化器内視鏡技師
この資格は内視鏡についての高度な知識や技術を持っていることを示すもので、以前は一種と二種に分かれていましたが、現在は一つに統合され、書類審査と筆記試験が行われています。
内視鏡に関する部署やクリニックに勤務するMTであれば、業務の幅が広がる可能性があるほか、転職の際には強みの一つになるでしょう。