臨床検査技師(MT)に就職・転職することを考えている場合、具体的な仕事内容や年収、将来性などを把握しておくことは欠かせないと言えるでしょう。
今回は、MTのことを知りたいという方のために、仕事内容や年収などをはじめ、資格の取り方まで詳しくご紹介していきます。就職・転職を成功させるため、ぜひ参考にしてみてください。
目次
1. 臨床検査技師(medical technologist)とは
臨床検査技師(MT)とは、簡単に言えば医師の指示に従って診療に必要とされる検査を行う職業です。医療系の国家資格の一つで、医療現場に欠かすことができない「検査のプロフェッショナル」と言えます。
体の具合が悪くなって病院に行くと、原因を調べるために血液検査などの検査を行うと思いますが、その検査を担当し、医師に検査結果を報告するのが臨床検査技師の仕事です。
ちなみに、臨床検査技師は英語でmedical technologistと呼ばれることから、頭文字を取って「MT」と略されこともあります。
2.臨床検査技師の仕事内容
では次に、臨床検査技師(MT)の仕事内容について具体的に見ていきましょう。MTが行う臨床検査には「検体検査」と「生理機能検査」の2種類があります。
検体検査
検体検査の検体とは、血液や尿、便や髄液のように、患者さんの体から採取したものや排せつされたもののことで、それらを検査することを検体検査と言います。
検体検査と一口に言っても、血液検査や臓器の検査を行う生化学検査、がん細胞の検査などを行う病理検査など、さまざまな部門に分かれています。
検体検査を行うMTの場合、検査機器を使って検体を測定したり、顕微鏡で細胞を観察したりして、医師が診断や治療を行うために必要なデータを提供するのがおもな仕事です。
生理機能検査
生理機能検査は心電図や超音波(エコー)検査など、直接患者さんの体に対して行う検査のことです。たとえば心電図検査であれば、患者さんの体に電極を付けて心臓の動きを検査します。
この検査では、担当するMTのスキルによって結果が左右されることも多いため、経験を積んでスキルを身に付けることが必要になります。
また、患者さんの体に直接触れて検査を行うことから、緊張したり、不安を感じたりする患者さんもいるため、コミュニケーションを取って安心して検査を受けられるようにすることも大切です。
3. 臨床検査技師の年収や将来性
臨床検査技師(MT)になるかどうか検討している方にとって、年収や将来性は気になるポイントと言えるでしょう。ここでは、年収と将来性のそれぞれをご紹介したいと思います。
①.MTの年収は?
MTの平均給与は、厚生労働省が2020年に行った「賃金構造基本統計調査」によると、1ヶ月あたりで32万7,200円となっています。
この平均給与の金額12か月分と、年間賞与やそのほかの特別給与額100万900円を加えると、年収は約493万円になります。この金額は役職や勤続年数、病院の規模によって変わります。
また、大きな病院では当直やオンコールなどの手当てが支給されるケースもあるので、勤務先によっても年収は変わってきますし、国家資格に対して資格手当てが支給されるところもあります。
②.MTの将来性は?
病院によっては人件費削減のため、超音波検査を医師や診療放射線技師が行っている場合もあり、今後そのような病院が増えていく可能性はあります。
しかしながら、平成27年4月から、これまで採血のみの検体採取が認められていたMTに対して、鼻腔拭い液や口腔の粘膜採取なども認められるようになっています。
また、病棟業務に関しても、ベッドサイドでの検体採取や検査の説明を看護師ではなく、MTが行うという流れもあり、チーム医療が進む中で業務が増えていくことが予想されています。
4. 臨床検査技師になる方法
臨床検査技師(MT)になるためには、文部科学省指定の大学・短大・専門学校などの養成課程を修了し、臨床検査技師国家試験に合格する必要があります。
ほかには、大学の医学・私学家の学部を修了した人や獣医学・薬学・保健衛生学系の学部を修了した人、医師・歯科医師・獣医師・薬剤師にもMTの国家試験を受ける資格があります。
国家試験の試験科目は?
MTの国家試験では次に挙げるような試験科目が含まれています。
・医用工学概論(情報科学概論及び検査機器総論を含む)
・公衆衛生学(関係法規を含む)
・臨床検査医学総論(臨床医学総論及び医学概論を含む)
こうした科目の中から1問1点で200問が出題され、合計120点以上を取れば合格となるため、正答率60%以上が合格のボーダーラインになっています。
試験は1年に1回だけ、毎年2月に実施されているため、不合格になった場合は、翌年まで試験を受けることができません。また、試験は全国9か所で実施されています。