臨床検査技師(MT)になりたいと考えている方の中には、WebサイトでMTをおすすめしない情報もあるので、離職率などはどうなっているだろうと不安に感じている方もいるかもしれません。
また、すでにMTとして働いているものの、近い将来に離職することを考えていて、一般的な指標である離職率や平均勤続年数が気になるという方もいることでしょう。
今回は、そんなMTを目指す方や離職を考えている方に、離職率や平均勤続年数、離職する理由などについて詳しく解説していきますので、ぜひ参考にしてみてください。
目次
1. 臨床検査技師の離職率
臨床検査技師(MT)の離職率について考えてみましょう。なお、ここでいう「離職」とはあくまでも事業所を辞めることを意味していて、MT自体を辞めることを指しているわけではありませんので、これから目指すという方はご安心いただければと思います。
MTの離職率について具体的な統計資料などはありませんが、いろいろな情報を総合して考えると、大手病院の場合で3~5%、クリニックの場合で10~20%程度と言えます。
なぜ職場によって離職率が異なるのか
お気づきのように、職場によってMTの離職率はかなり異なることが分かります。なぜこのようになっているかというと待遇面の差が大きいと考えられます。
クリニックなどの場合、スタッフも少ないため、MTとしての仕事に専念できない場合が多く、休日が少ないにもかかわらず、給料はそこまで高くはないために離職率が高くなってしまう傾向にあります。
それに対して、大規模な病院では給料も高めで長期間安定して仕事ができるケースが多く離職率は低いです。なお、大手の病院でも契約社員の場合は離職率が高めでしょう。
離職率が高いからと言って悪い職場とは限らない
離職率が高いと、職場環境が悪いというイメージがあるかもしれませんが、病院や企業の規模が大きければ、それだけ離職する人数も多くなるのが普通です。
また、離職率が低いからと言っても、単に従業員の平均年齢が高く、転職などを考えていない人が多いだけというケースも考えられます。
したがって、離職率は1つの指標にはなりますが、それが高い低いだけで転職先としてふさわしいかを判断するのは早計と言えるでしょう。
2. MTの離職率は低い
MTの離職率に関するデータはありませんが、厚生労働省がまとめた「令和2年上半期雇用動向調査結果の概況」」によると、医療・福祉関係の離職率は8.8%となっています。
一番離職率が高いのは、宿泊業、飲食サービス業で、15.3%に上ります。ちなみに全業種の平均離職率は6.3%なので、医療・福祉関係の離職率は平均的と言えるでしょう。
MTの場合、大手病院の離職率は、ほかの業種や医療関係に比べてかなり低いと言えますが、クリニックや検診センターの場合では、職場によって離職率が高いところと低いところに差があると言えます。
3.勤続年数の平均
働きやすい職場かどうかの目安となる指標として、離職率のほかにも平均勤続年数があります。一般的に平均勤続年数が長い場合は働きやすい職場と考えられます。
臨床検査技師(MT)全体の平均勤続年数で考えると、厚生労働省の令和2年度の賃金構造基本統計調査では、平均勤続年数が12.7年となっていますので、就職・転職する際の一つの目安となるでしょう。
とはいえ、これも離職率と同じであくまで職場が働きやすいかどうかの目安にしかならなりません。クリニックなどの場合は、職員全員が古株というようなケースもあるからです。
そのため、基本的には平均勤続年数が長い方が待遇や人間関係などが良くて働きやすい職場の可能性が高いと考えられますが、離職率と同じように一つの参考程度にとらえておくのが賢明です。
4. 臨床検査技師が離職する理由
ここまで離職率について考えてきましたが、最後に臨床検査技師(MT)が離職する理由として多いものをいくつか挙げてみたいと思います。
①.給料が低い
とくに大手総合病院で契約社員として働くMTの場合、給与が低いことや正社員との待遇に格差があることに不満を感じて離職したいと考えるケースが多いようです。
②.雑用が多く、MTとしての仕事ができない
これは個人経営の総合病院やクリニックで働くMTに多い離職理由ですが、雑用が多くてMTとしての仕事をなかなかさせてもらえないことに不満を感じることが多いと言えます。
③.業務が単調でつまらない
検診センターで働くMTの場合、決まった生理機能検査ばかりを行ったり、症例数が少ないなど業務が単調なことが理由でやりがいを見いだせなかったりして、離職するケースが見受けられます。