臨床検査技師(MT)の就職・転職先には「整形外科」もあります。整形外科は骨折治療などのイメージがあるため、CTやレントゲンなどを扱う放射線技師のことを考える方も多いでしょう。

しかしながら、実際には整形外科でもMTの募集を行っているところは少なくありません。そのため、どのような働き方をしているのか関心を持っている方もいるのではないでしょうか。

今回は、そんな整形外科で働くことを検討しているMTの方のために、仕事内容やメリットデメリット、どのような人に向いているのかまで詳しく解説していきます。

1.整形外科の特徴

整形外科というと「骨折の治療」というイメージが強いかもしれませんが、実際には運動器官を構成するすべての組織を対象としていて、全身に診療科領域が及ぶ科目と言えます。

整形外科の中でも医師によって専門領域が分かれていて、脊椎や脊髄を専門とする「脊椎・脊髄外科」や上肢を専門とする「手の外科」「肩関節外科」などがあります。

整形外科には大きく分けると病院とクリニックの2種類の施設があり、クリニックではおもにリハビリを実施しているのに対して、病院では病気やけがの診察から手術、リハビリと幅広く対応しています。

2.整形外科での仕事内容

前の章でも述べたように、整形外科にはクリニックの場合と、病院の場合があるので、どちらのタイプの施設で働くかによって臨床検査技師(MT)としての仕事内容も異なります。

また、病院やクリニックの規模によっても、行っている検査の種類は異なることがありますが、基本的には医師の指示のもとに診療に必要な検査を行うのがおもな仕事内容になります。

検査は大きく分けると「検体検査」と「生理学的検査」の2種類ありますので、それぞれの検査について詳しく見てみましょう。

 検体検査

検体検査は患者さんから血液や尿、便、細胞組織などを採取して行う検査のことです。

具体的には血液検査や免疫検査、化学検査、輸血検査などがありますが、病院によっては一部の検査を外部に委託していることがあります。

 生理学的検査

生理学的検査は患者さんの体を直接調べる検査のことで、心電図検査、超音波検査、呼吸機能検査などが含まれます。クリニックではおもにこの生理学的検査を行うことが多いでしょう。

以上がおもな検査内容になりますが、病院によっては脊椎や脊髄の手術中にMTが神経の通り具合をモニタリングしているところもあります。

3.整形外科で働くメリットデメリット

次に、臨床検査技師(MT)がこの科目で働くメリットとデメリットについて考えてみましょう。

 整形外科で働くメリット

最初の章の特徴のところでも考えたように、整形外科の診療領域は多岐にわたるため、さまざまな検査を行えるのはMTとして知識や経験を増やすうえでメリットと言えるでしょう。

医師の診断にかかわる重要な検査のデータを扱って、医師をサポートする役割を果たすのはやりがいがありますし、だんだんと患者さんが良くなっていくのを見るという喜びもあります。

 整形外科で働くデメリット

これは整形外科に限った話ではありませんが、とくに病院で働く場合、人の命に係わる仕事なので検査における間違いが許されないというプレッシャーが大きいのは苦労する点と言えるでしょう。

クリニックで働く場合は、このようなプレッシャーは少ないかもしれませんが、行える検査の種類が限られるため、MTとしてスキルアップを目指している人は病院での求人を探しましょう。

4.整形外科がおすすめな人

ここまで考えてきた整形外科の特徴やメリットデメリットなどを踏まえたうえで、最後にどのような人に向いているのかご紹介したいと思います。

 整形外科の診療分野に関心がある人

診療領域が幅広く検査の種類も多いので、さまざまな検査で経験を積みたいという人におすすめです。

とくに検体検査まで行いたい場合はクリニックよりも、病院の求人を探すと良いでしょう。

 患者さんと接することが苦にならない人

病院、クリニックを問わず、採血や生理学的検査で患者さんの体に直接触れる機会が多くあります。

そのため、患者さんを不安にさせないように気を配れる人が向いていると言えます。

 臨機応変な対応が得意な人

病院では患者さんがいつ何人来るかは分からず、検査中に急患が入って作業の優先順位が変わったり、複数の検査を同時に行ったりすることもあるので、臨機応変に対応できる人が必要とされています。