臨床検査技師(MT)としての就職・転職先の一つとして「産婦人科」があります。産婦人科は女性の重要なライフステージである妊娠・出産に携わるほか、女性特有の病気も扱う重要な仕事です。
とくに胎児の超音波検査には高い技術や経験が求められるため、これまでそうした経験を積んできた方の需要は大きいと言えるでしょう。
今回は、産婦人科で働くことを考えているMTの方のため、仕事内容やメリットデメリット、どのような人に向いているかまで詳しく解説していきます。
目次
1.産婦人科の特徴
産婦人科の特徴としては、妊娠から出産をサポートする「産科」と、子宮や卵巣の疾患の疾患の診察や治療を行う「婦人科」に分けられることが挙げられます。
ここでは、「産科」と「婦人科」それぞれの特徴について簡単に説明します。臨床検査技師(MT)としての業務内容については次章以降で解説していきますので、まずは全体の特徴を掴みましょう。
産科の特徴
産科は無事に出産ができるよう、母子の健診を主に行っている科目になります。入院施設がある病院では出産の際の分娩介助も行っています。
また、出産は自然分娩だけでなく、帝王切開のケースもあるため、必要に応じて手術も行います。患者さんの希望によっては中絶手術も実施することがあります。
婦人科の特徴
婦人科は子宮筋腫や卵巣嚢腫、また子宮がんや卵巣がんなどの婦人科疾患を診療する科目で、内科治療と外科治療の両方を必要としている患者さんが多いことも特徴です。
そのため、がん検診や疾患の診察、処置や手術などを行っています。また、病院によっては不妊治療専門の診療科を設置して、妊娠を希望する夫婦をサポートしています。
2.産婦人科での仕事内容
産婦人科は、産科と婦人科で特徴が異なるため、臨床検査技師(MT)が産婦人科で働く際にも仕事内容は異なってきます。それぞれの科でどのような仕事を行うのか見てみましょう。
産科での仕事内容
産科は妊婦をおもに見ることになるため、MTとしての仕事も妊婦健診を中心としたものになります。とくにおなかの赤ちゃんが健康な状態かどうかを見る超音波検査は重要です。
胎児の超音波検査はほかの臓器とは異なり、胎児が動き回るという特徴があるため、たくさんある超音波の分野の中でも習得が難しいと言われている分野です。
婦人科での仕事内容
婦人科では、子宮や卵巣などの疾患を扱っているため、MTもがんや筋腫など婦人科の病気を専門に検査を行うのがおもな業務内容になります。
3.産婦人科で働くメリットデメリット
次に、産婦人科で働くことにはどのようなメリットとデメリットがあるのかについて考えてみましょう。
産婦人科で働くメリット
産科で胎児エコーなどを行う場合、臨床検査技師(MT)として国家試験に合格すればすぐに行えるというわけではありません。求められる知識や技術は高いため、その分やりがいは大きいと言えるでしょう。
また、産科では女性のライフステージの中でも重要と言える妊娠や出産に携わることができるという満足感もあります。
産婦人科で働くデメリット
一方で、産婦人科で働くデメリットとしては、とくに胎児の超音波検査を行えるようになるまでに、長い研修や実務経験が求められるので、簡単な道のりではありません。
また、大学病院の産婦人科などは、とくに正常ではない妊婦のケアが必要で、常に安全な出産とは限らないため、訴訟などのリスクもあり、緊張感が高いことも覚えておいた方が良いでしょう。
4.産婦人科がおすすめな人
産科で超音波検査を行うためには高い技術が必要ですので、そうした技術を身に着けて妊婦さんが無事に出産できるよう助けたいと考えている人におすすめです。
また、婦人科では腹部や乳腺の超音波検査を行う機会が多いので、これまでの職場でそのような経験を積んできた人も産婦人科で技術を活かすことができるでしょう。
産婦人科で臨床検査技師(MT)として働く場合、検査室で検体の検査を行うのではなく、妊婦健診やがん検診などで患者さんと接することになります。そのため、患者さんとコミュニケーションを取りながら働きたい人にもおすすめと言えます。