臨床検査技師が働く場所のひとつに、クリニックがあります。クリニックとは、入院病床がない・または19床以下の医療施設のことをいいます。臨床検査技師の大半は病院に勤務しているため、クリニックでの働き方はよくわからないという方も多いのではないでしょうか。
この記事では、クリニックで働く臨床検査技師の業務内容や病院との違い、クリニック勤務に向いているのはどういう人かを、詳しく解説します。最後まで読むことで、臨床検査技師としてクリニックで働いてみるべきかどうかを判断するための材料が得られるはずです。
1. クリニックでの1日
臨床検査技師のクリニック勤務では、クリニックの診療時間イコール勤務時間となり、その間に行われる検査全般に対応します。当直やオンコールはなく、クリニックの休診日が休日になります。
以下では、クリニック勤務の一般的なスケジュールをご紹介します。
8:30 | 出勤 |
8:30~9:00 | 検査機器の立ち上げや担当業務確認などの始業準備 |
9:00~12:30 | 来院患者の生理機能検査 来院患者の診療補助 来院患者の検体採取 |
12:30~14:00 | 休憩 |
14:00~17:00 | 来院患者の生理機能検査 来院患者の診療補助 検査結果報告書の作成 検査センターへの発注 その他庶務業務 |
17:30 | 退勤 |
2. クリニックでの仕事内容
クリニックでは、自施設で検体検査を行えるケースは少なく、検査センターに外注することがほとんどです。そのため検体検査を行う機会は少なくなりますが、採血などの検体採取業務を担うことはあります。
一方、担当業務の大部分は生理機能検査になり、診療科に関連する生理機能検査を繰り返し行います。例えば消化器科であれば腹部エコー、呼吸器科であれば呼吸機能検査、という具合です。このように専門分野に特化した技術が求められるため、エコーを行える臨床検査技師は就職に有利になります。
またクリニックでは、雇用されている臨床検査技師の人数が1~2名と少ないケースがほとんどなので、そこで行われる検査全般を一人でこなすことが求められます。そして、クリニック全体でのスタッフ数も多くはないため、臨床検査業務以外の雑務や診療補助などにも対応しなければならない場合があります。
3. 病院との違い
臨床検査技師が働く場所としてのクリニックが病院と異なる点には、以下のようなものがあります。
・検体検査に携わる機会が少ない
・実施する臨床検査の種類が限定的
・雇用されている臨床検査技師の人数が少ない
・生理機能検査が大半になるため、患者さんとの距離が近い
・夜勤がなく、休日が固定している
・臨床検査以外の雑務にも対応するケースが多い
このように働きやすい面も多くありますが、クリニック内の雑務など専門外の業務や雑務にも対応していく必要があります。
4. クリニックがおすすめな人
臨床検査技師としてクリニックで働くことがおすすめの人は、病院とは異なるクリニックの働き方をメリットとして捉えられる人です。
例えば、実施する臨床検査の種類が限定的であることを「興味のある分野に特化した技術を磨ける」と考えられたり、雇用されている臨床検査技師が自分ひとりであるために忙しいことを「主体的に判断し自分のペースで働ける」と感じられたりする人は、クリニック勤務に向いているといえます。
このことを踏まえると、以下のような人にはクリニックがおすすめです。
・専門性を磨きたい
・一定の経験があり、主体的に判断して行動できる
・臨床検査業務に限らずマルチタスクに対応できる
・患者さんと直接やりとりするのが得意である
・夜勤を避けたい、ワークライフバランスを重視したい
・少人数のチームの中で、円滑な人間関係を築ける
5. まとめ
ここまで解説したように、クリニックで働く臨床検査技師の業務内容には、病院勤務とは異なる点が多くあります。大きな違いは「対応する臨床検査の種類と量」「スタッフ数」「夜勤の有無」ですが、クリニックの場合には医師との距離が近く少人数チームであることが多いため、実際にはそのクリニックごとの特徴によっても働き方が変わってきます。
そのため、クリニック勤務を考えたときには、そのクリニックの特徴や雰囲気をよく確認した上で判断することをおすすめします。またクリニックでは臨床検査技師の雇用人数が少なく、病院のような教育制度が整っていないことも多いため、新卒よりも一定の経験を積んだ人材が求められる傾向にあります。その点も踏まえて、臨床検査技師として働く場所としてのクリニックが自分に適しているかどうかを、よく検討しましょう。