臨床検査技師(MT)は年収が低く、看護師や診療放射線技師の年収は高いと思われがちです。求人情報でも給与に差があるのを見かけます。はたして実際はどうなのでしょうか?MTと他のコメディカルとを比較しながら、年収アップの方法もご紹介します。
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目次
1. 他の職種や業界と比べた年収
①平均年収の他職種との比較
厚生労働統計一覧(賃金構造基本統計調査)によると、臨床検査技師(MT)の年収は平均で493万円です。これは男女・年齢を分けず計算した平均年収です。年数を積むにしたがって給与は増えていきますので、若い方の年収は平均より低く、年齢を重ねたベテランの方は平均より高くなります。
他のコメディカルについても同様に平均年収を計算した結果、放射線技師は548万円、看護師は491万円、理学療法士・作業療法士は418万円でした。放射線技師がMTより50万円ほど高く、看護師はMTとほぼ同じです。この4職種のなかでは理学・作業療法士が最も低いことがわかりました。
②男女別年収の他職種との比較
男女別で年収を比較すると、男性では診療放射線技師が最も高く、次いでMT、看護師、理学・作業療法士の順でした。女性では看護師、MT、診療放射線技師、理学・作業療法士の順でした。ただし女性の場合、男性ほど職種間の差は大きくありません。
③男女別・年齢別年収の他職種との比較
20代前半では女性看護師が最も高く、男性診療放射線技師、男性看護師と続き、最も低いのは女性MTでした。男性MTもほぼ変わりません。全年代の平均年収は4職種のなかでは高いほうなのに、MTの年収が低いイメージがあるのはスタート時が低いからかもしれません。
確かに看護師さんは初任給が良い、それに比べてMTは薄給だとよく言われます。しかし30代以降の伸び幅が大きく、平均年収は40代で男性は600万円台、女性は500万円台、50代後半では男性が700万円台後半、女性が600万円台となります。これは平均なので、若い人が低いのはもちろん、同じ年代のMTでも年収に差があります。
医師を除く医療従事者のなかではMTの平均年収は高いほうです。決して低いほうではありません。ただし、役職手当、夜勤・当直手当、資格手当などが含まれているので、必ずしもここまで上がらないケースもあります。
④勤務先による年収の違い
同じMTでも病院・クリニック・臨床検査センター・医療機器メーカー・治験コーディネーターなど勤務先により年収は違います。医療機器メーカーや治験コーディネーターなどは基本給や賞与が高めです。病院は規模や超音波検査の有無によっても給与が異なります。
2.昇給する方法
昇給するための方法を考えてみましょう。しかし給与アップだけを考えるのではなく、その分責任が重くなるという覚悟も必要です。
①経験年数を積む
基本的に、経験年数が多くなるほど収入は増えていきます。最初は収入が少なめですが、30代くらいから上がり幅が大きくなっていきます。
②資格を生かす
超音波検査士や細胞検査士などの資格を取り、実際の検査業務に役立てることで昇給が望めます。
③役職に就く
主任や技師長などの役職に就くことで役職手当が付きます。もちろん役職に就くには経験と信頼が必要です。
④夜勤や当直のある職場に就職する
夜勤や当直をすると手当が付きます。
⑤基本給や賞与の高い職場に転職する
医療機器メーカーや治験コーディネーター、規模の大きい病院など基本給の高い職場に転職をすることも昇級のチャンスとなります。
3. 年収が低くはない理由
臨床検査技師(MT)は若いころの給与が低いため、他のコメディカルより年収が低いと思われがちですが、30代くらいから大きくアップしてきます。
MT、看護師、診療放射線技師、理学・作業療法士の4職種で年収を比較すると、男性MTは診療放射線技師に次いで2番目、女性MTは看護師に次いで2番目と、決して年収が低いほうではありません。
年収がアップする理由は、経験を積むうちに資格手当、夜勤・当直手当、役職手当などが付くようになるからです。
またMTは働く場所が医療機関にかかわらず、医療機器メーカーや治験コーディネーターなど幅広く選択できるため、給与の良い職場に転職することも可能です。
もともとMTは資格を生かして仕事をしているため、長く働き続ける人が多くスキルアップして年収アップにつながっていると思われます。