臨床検査技師(MT)として転職する際には、面接で前職の退職理由について聞かれることがあります。そこでどのように答えるべきか、本音をそのまま言ってもよいのかと心配していませんか?

結論からいうと、ネガティブな退職理由は伝えるべきではありません。なぜなら、面接官に「採用しても辞めてしまうのではないか」という不安を与えてしまい、不採用になりかねないからです。

そこでこの記事では、退職理由はポジティブに伝えるべきである理由とその具体例について、詳しく解説します。

1. 絶対にNGはマイナスな評価

まず確認しておきたいのは、前職に不満があったというネガティブな退職理由は、そのまま伝えるべきではないということです。

例えば、人間関係が悪かった・労働環境が過酷だったなどということは、たとえ事実だとしても違う言い回しにする必要があります。

なぜなら、ネガティブな退職理由をきいた面接官は、「この人はうちの職場でも同じように不満を抱えて辞めていってしまうかもしれない」と感じてしまうからです。大抵の施設では長く意欲的に働いてくれる人材を求めているわけですから、マイナス評価を受けて不採用になる確率が高まります。

2. ポジティブな表現が基本

それではどのように退職理由を述べたらよいのかということですが、ポジティブな表現にすることが基本です。「嫌だった・辛かった」ではなく、「よりよくしたいと考えた」という風にすべきだということです。

例えば、以下のように言い換えてみましょう。
・人間関係が悪かった⇒個人主義の環境だったため、今後はチームワークを重視して働きたい

・残業が多すぎた⇒限られた時間の中でも確実に成果を上げられる働き方を身につけたい

・業務内容が退屈だった⇒より幅広い業務を経験してスキルアップしたい

同じことでも、かなり印象が違ってくるのがわかります。このようにポジティブな表現を使うことで、面接官に「意欲的な人物だな」と印象付けることが大切です。

3. 志望動機・転職先でないとダメな理由と一致させる

退職理由をポジティブな表現にすることに加えて大切なのは、退職理由と志望動機を一致させるということです。

「こういう理由で辞めました、だからこのような職場で働きたいと考えています、そして貴院はその希望にピッタリなのです」という話の流れを作りましょう。

ここがチグハグだと、面接官はあなたの話に納得できず、「転職先は別にうちじゃなくてもいいのではないか」と考えて不採用になる危険性があります。

そして、志望動機を考える際には、応募する施設についてよく情報収集し、その施設の理念や方針をしっかりと把握しましょう。

その施設ならでは特徴を捉え、そこに魅力を感じている・貢献できるから応募したのだとアピールすることで、「うちのことをよく理解している、意欲的に長く働いてくれそうだ」とよい印象を与えることができ、採用される可能性が高まります。

4. 早期退職など困ったときの言い回し

1年未満などの短期間で退職した場合、退職理由の伝え方はよりデリケートな問題になります。なぜなら、面接官に「採用してもまたすぐに辞めてしまうのではないか」という先入観をもたれる場合が多いからです。

それを防ぐためには、以下2点のポイントが伝わるように退職理由の説明をしましょう。

・熟考した上で決断したこと
・大前提として長く働ける職場を探していること

例えば以下のように話すと、軽々しく退職したわけではなく、長く働ける環境をみつけるために仕方がなかったということが伝わります。

前職では、検査件数が非常に多かったために、毎日とにかくミスなくこなすということが重視される環境でした。
そのような中で、経験の数が多いことが成長につながると考えて奮闘しておりましたが、もっと自分の業務一つひとつについてよく考えながら進めたいという気持ちをもつようになりました。そして、それができない状況では学習意欲を維持したまま長く働き続けることが難しいと判断し、退職を決断した次第です。

大切なのは、面接官に「それなら仕方ない、うちでなら長く働いてくれそうだ」という納得感・安心感を与えることです。

また退職理由について、面接官から「我慢が足りなかったのでは?」などの嫌な言い方をされた場合の反応にも注意が必要です。

「そのように受け止められても致し方ないが、自分としてはできる限り努力した結果であり、同じことは繰り返さない」と落ち着いて答えましょう。感情をあらわにしたりあれこれ言い訳したりしても、マイナス評価を受けるだけです。

5. まとめ

以上のように、臨床検査技師として転職する際には、退職理由についてネガティブな事実もポジティブな表現に言い換えて伝えるのがおすすめです。

ただしこれは、面接の場でいきなりやろうとしても難しいかもしれません。事前にしっかりと時間を作り、「自分はなぜ退職したいのか」について深く考えてみましょう。

それによって、本質的な不満や困難、つまり転職先に求めることが明らかになります。それを意欲的な表現で説明する練習をしておくと安心です。