臨床検査技師(MT)が日々の検査業務に従事するなかで、スキルアップを目指したい方や新分野に挑戦したい方、あるいは引っ越しなどで転職を希望される方もいらっしゃるでしょう。

転職をする際に自己PRの書き方に悩まれる方は多いと思われます。どのように自己PRを書いたら採用担当者の目に留まりやすいか、例文を挙げながらご紹介します。

1. 自己PRを書く際のポイント

臨床検査技師(MT)の働き方を大きく分けると、医療機関で実際に臨床検査業務にあたる場合と、医療機器メーカーや治験関連企業などで働く場合の二つです。さらに臨床検査業務は検体検査と生理機能検査の二つに分けられます。

自己PRを書く際は、これまでの経験や資格、性格などのなかから、転職先の体制や状況に合う内容を選択しましょう。

たとえ複数の資格を持っていてもすべてをアピールするのではなく、病理検査室ならば細胞検査士、循環器科ならば超音波検査士というように、転職先で役立つ資格を保有していることを伝えたほうが良い印象を与えます。

また、より経験を積んで資格取得を目指すというのも向上心が感じられます。

2. 自己PRの具体例と解説

 経験

転職先での抱負を述べるだけではなく、転職先で生かせそうな経験を具体的に伝えると説得力があります。ぜひ具体例を参考にしてみてください。

ただし、どんなにすばらしい経験をしていたとしても、転職先の仕事と全く関係のないことは書かないようにしましょう。

具体例①
「病院の生化学検査室に勤務していた際、ペアで検査を行っていましたが、半年ずつずらして1年単位で担当項目をローテーションしていました。誰もが複数の項目を経験しており、休みを取ったスタッフのカバーができる状況でした。そのため多項目の検査を交代で行っている貴院の体制にもなじみやすいと思います。」

具体例②
「私は時間外に飛び込みの検査が入った場合も対応する心づもりがあります。検査センターに日勤で勤務していたとき、18時以降に3件の輸血適合試験が入るという連絡があり、夜中まで検査をした経験があります。ルーティンの検査も大切ですが、急を要する検査に対応できるのは臨床検査技師としてやりがいを感じます。」

 資格

細胞検査士や超音波検査士など、転職先で生かせる資格をすでに保有しているのであれば有利になります。また、今は資格を持っていなくても今後、資格取得を目指すという方はその熱意を伝えましょう。

具体例
「前職では検査センターで病理学検査を担当していましたが、さらに検査経験を重ね細胞検査士を目指したいと思うようになりました。細胞診なら〇〇と頼ってもらえるような臨床検査技師のスペシャリストになりたいと思います。」

 性格

転職をする際は、働きやすい業務を選択することが多いはずです。自身の性格が転職先の業務形態に向いていることをアピールしましょう。

具体例①
「私はコツコツと取り組むことが好きなため、検体検査を集中して行いたいと思います。スピードも必要ですが、何より正確さを大切にしています。患者さんの大切な検体をお預かりしているのですから、検体取り違えや異常細胞の見逃しなどミスがないよう、いつも適度な緊張感を持って検査に臨んでいます。」

具体例②
「私は患者さんと会話をするのが好きです。これまで患者さんと接する検査の経験は少ないのですが、今後は生理機能検査などに多くかかわりたいと思います。検査を受けに来られた患者さんは検査結果や検査自体に不安を感じている方が多く、少しでもその不安を取り除けるよう努めてまいりました。患者さんが落ち着いて検査に臨んでくださったときにやりがいを感じました。」

3. おすすめの記入パターン

臨床検査技師(MT)が転職する際、採用担当者の目に留まりやすい自己PRの書き方について、経験のある分野への転職と未経験の分野への転職の場合とに分けてまとめました。転職先の業務形態に合わせた内容を書きましょう。

 経験のある分野への転職

経験したことのある分野への転職を希望する場合、1日に行った検査数や身に付けた技術、勉強会に参加したことなど、転職先と共通する部分の経験をアピールすることがまず考えられます。

即戦力になることがアピールできるよう、細胞検査士や超音波検査士など今後に生かせる資格があればぜひ伝えましょう。

経験のある分野でも規模や勤務体制が異なる場合があります。その違いに合わせて、さらに経験を積むことや資格取得の意思など向上心のアピールもしましょう。

 未経験の分野への転職

今まで経験したことのない分野への転職を希望する場合、性格や関心が関係している場合が多いと考えられます。経験をアピールできないかわりに、転職先の業務と自身の性格が合っていること、強い関心があることを伝えましょう。

検体検査への転職を希望する場合は、「コツコツと作業をすることが好き」「正確さを重視する」「効率的に検査を進められる」といった長所や日ごろ心がけていることなどが挙げられます。

生理機能検査や医療機器メーカー、治験関連企業への転職を希望する場合は、「人と話すことが好き」「新しいことに挑戦するのが好き」など熱意を伝えましょう。